目まぐるしい日々だった。5月にデイトレ本格復帰を果たしたわけだが、毎日が新鮮であると同時刺激も最強クラスのものを受け続けてきた。
充実を感じることで身体は疲れを感じなくなるものだが、それでも疲れは確実に蓄積していた。
前回のお話はこちらです。
第22話 ぶっ飛んだ思考回路
緊急停止で負の連鎖を断ち切った弟は順調に回復へと向かっていた。俺も自分を誤魔化しながら安定した利益を出せていた。利益額も満足のいくものになっていた。 しかしこのバランスはすぐに崩れることになる。 前回 ...
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好調な身体と疲れ
俺は2006年に1人暮らしを始めてから、母のありがたみをずっと痛感してきた。
しっかり栄養を考えられた食事というのが健康にとっていかに大切なのかわかったからだ。
1人暮らしの不摂生、栄養の少ないインスタント食品、野菜不足の生活で身体は弱っていった。
原因不明の病気で病院にかかることもあり、いつもどこかしら体調が悪いような日々が続いたこともある。ニート生活は楽だったが、思えば充実とは程遠い日々だった。
階段を上るだけで疲れてしまうこともあった。
やらなきゃいけないことなど何もないため、いつも身体がダルく感じていた。
食事の時間も決まっていない。睡眠の時間もまちまち。
若さがあったからまだ良かったものの、あのままの生活をしていたら本当にまずかっただろう。
彼女と一緒に住むようになって改善は見えたものの、彼女も仕事が忙しく、大変な日々だったため、一緒に食事を取れる日は少なかった。
結婚をして、仕事を辞めてからは食事も一緒に取れるようになり、食生活は安定した。
しかし結婚式の頃にハマった携帯ゲームはどんどんエスカレートしていった。
そのため睡眠のリズムはボロボロな日々だった。
株に復帰することで起きる時間は一定となるが、毎日のスケジュールが大変なことになった。
8時前に起きて携帯ゲームに集中し、その後株の準備をした。
昼休みはあるものの当然携帯ゲームに熱中した。昼休みが終われば15時まではデイトレに集中した。
その後ブログで収支日記を付け、自転車で塾まで出勤だ。
授業に空きがあれば当然の携帯ゲーム。時には授業中にやってしまうことさえあった。
22時半に帰宅し、ごはんを食べてお風呂に入れば当然携帯ゲームだ。2時、3時、時には4時過ぎまでずっとやっていることさえあった。当然そのことが原因で夫婦喧嘩になることもあった。
デイトレ成績が向上したことで、もっとデイトレを頑張ろうと思った。
自然と携帯ゲームの時間が減ると自分で思っていた。
しかし現実は違った。
携帯ゲームはずっと頑張ってきたこともあり、全国で1位を取り続けていた。
携帯ゲームの世界では誰よりも強くいられたのだ。
デイトレを頑張っても弟には勝てない。
弟以外にもたくさん上手な人はいる。
でもこのゲームの世界ならば俺は1番なんだ。
そう思ったらやめられなかった。むしろ絶対に負けないようにさらにエスカレートしていった。
土日は株が休みでも携帯ゲームは当然ある。
1日中やっていることもあった。
休まる時などまるでなく、確実に疲れは身体に溜まっていった。
それでも走り続けた。
何か1つを止めてしまうと全てが崩れてしまいそうな気がしたからだ。
身体が壊れるのが先か、どこかで立ち止まるのが先か。
俺も億り人になるようなことがあれば立ち止まることが出来るんだけどなぁ。
まぁそんなことは起こるはずもなく、結局は毎日頑張っていくしかない。
思えば気が休まることもなかった。
俺がデイトレ復帰してすぐは自分が勝てるかどうかわからず不安の中でガムシャラだった。
ある程度勝てることがわかるとすぐに弟の億達成。
そして即陥落で大きな負け。
弟の今後を心配する間もなく復活したかと思えば、安心する間もなく入金という暴挙にてまた大負け。
人の心配が出来る立場ではない。それに弟は俺よりはるかに金を持っている。
でも信用取引で株をしていると、一発で借金になるリスクは常にあるんだ。
しかもその場合、資金が多ければ多いほど多額の借金を背負う可能性が高くなる。
1億円持った状態で大きなミスをして借金になるならば、5000万、1億円の借金になる可能性もあるわけだ。そんな借金になったらさすがに弟でも絶対に立ち直ることなど出来ない。
返済出来る可能性も薄いだろう。
余計なお世話かも知れないが、そういう心配を常にしていた。
だから落ち込んで資金を下ろすと言った時、本当に安心をした。
それなのにまさか即日でブッコミ宣言をするなんて・・・。
やはり弟だから。兄として心配はしてしまうものだ。
明日からもまた心配する日々になるだろう。
だが俺もやらねばならない。弟に対抗する必要はない。
それでも毎日稼いでいく必要がある。
ひたすら頑張った。塾は相変わらずだ。多くを望むことはしばらく出来ないだろう。
7月になれば夏期講習生募集のチラシを入れることが出来る。そこで入塾生がたくさん来ることを願うばかりだった。
もしくは入塾生が少なくてもやっていけるくらいデイトレで稼ぐことだ。
適度に手を抜くことが出来ないというのは俺の良いところでもあり、悪いところでもある。
全てに全力でいくしかない。常に0か100という性格なのだ。
0にしないためにも、まだまだ100で走り続ける。