株で億り人、億トレーダーになった弟を持つ男の思いを書いています。

億り人
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小説本編 第61話~70話

第61話 デイトレーダーの夫婦喧嘩

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金絡みの喧嘩が一気に増えた。8月の成績には満足したものの、それはあくまで夏期講習と並行していたからだ。9月になっても40万ちょっとの利益で調子はイマイチ上がらなかった。

金の計算をすればするほど焦っていく日々にゆとりが持てなくなっていったのだ。

前回のお話はこちらです。

第60話 目標が行方不明

6月、久しぶりに大きな利益を出せたわけだが、7月はやや守りに入った目標となった。自分自身が高級焼肉を食べたいからだ。そういう目先の目標が自分を強くすると思っていた。 でも実際はそうではなかったのだ。 ...

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夫婦喧嘩の流れはいつも同じ

3月頃までは金の話になっても明るい話題ばかりだった。このままいけばけっこう早く家も買えるかも知れないとお互い思っていたからだろう。贅沢なランチにも行った。

焼肉も毎月行くことが出来ていた。

贅沢しつつマイホームも買える未来を信じて疑わなかった。だからこそどんな家を買えるのか不動産サイトを一緒に見たりして楽しむこともあった。

家を意識したタイミングで大きく勝てるようになったのは意識改革が大きかったわけだが、たまたま相場そのものも勝ちやすい流れになっていたのだろう。

夢から醒めた今の相場はそうはいかない。

やる気を取り戻し、真剣に取り組んでも40万ちょっとの利益だったのだ。もちろんフルタイムでトレードしている。これ以上の伸びしろは俺にないように思えた。

つまり手詰まりだ。そんな状態で未来を想像しても明るいものは見えない。

俺の調子が上がらないということは当然妻の調子も上がらない。当然だ。俺の買値を参考にしてやっているわけだから。そうなると当然デイトレ絡みの喧嘩も増えてくる。

特に妻が負けた時の喧嘩の流れはお決まりだ。

 

俺「負けたものはしょうがないけど反省しろ」

妻「は?必要ないし。私は悪くない」

俺「じゃぁ俺の買値が悪いってことかよ」

妻「そうじゃないけど私は悪くない」

俺「自分がロスカットしないから悪いんだろ。どうせ次も同じになるから反省をしろよ」

妻「反省したってどうせ同じだし」

俺「同じでもいいから反省しろ。俺は仕事でやってるわけだし、そうやって反省を繰り返すことで勝てるようになってきたんだよ。」

妻「私だってトータルで勝ってるし仕事だよ」

俺「真面目に出来ないことを仕事とか言ってんじゃねぇよ」

妻「真面目にはやってるけど反省しないだけ」

俺「遊びなら反省しなくてもいいけど仕事なのに反省しないのは絶対ダメだ」

妻「デイトレは遊びでやってるからいいんだ」

俺「ふざけんな!だったらやめちまえ。負けて遊びと笑えるほど金に余裕なんかねぇんだよ」

妻「でも今までは助かってたでしょ」

俺「そういう問題じゃねぇ。今すぐやめろ」

妻「別にいいし」

 

もちろん言葉は違うものの、毎回流れはこれだ。バカ2人としか思えないほど同じ流れだ。

子どもがデイトレ中に近付いてくるのを制御しろと言ってもしない。後場になると昼寝してしまう妻。勝てば仕事、負ければ遊びと言う。そんなんでマイホームが欲しいと言う。

もううんざりだった。

せめて外で働いて金稼ぐ苦労を知れというようなことも言った。

妻は正社員で働いていたわけだからもちろんそういう苦労も知っている。でも外で働いた経験がない俺の方がはるかに苦労を知っているかのような言い合いばかりだった。

妻がはちゃめちゃむちゃくちゃなことを言っているのは明らかだったが、それ以上に俺に積み重なっていたんだろう。思えばここ数年でデイトレノルマは数倍になっていた。

普通はそんなに簡単に適応出来るものではないと自分を褒めたこともある。

妻は感謝してくれているようなことは言うけれど、態度でそれを感じることなどほとんどなかった。むしろ俺が進化すること、勝ち額が増えることは夫として、父親として当たり前のように受け止めているのではないかと思った。

それは冷静に考えれば俺に対する評価が高いことを意味するわけだが、やはり喧嘩になるとどうしてもそこが気に入らない。これだけの苦労を乗り越えてきた俺を労えという思いが強く出る。

そんなんじゃ離婚だ!こっちこそ離婚だ!というやり取りだってある。

でも俺らに絶対離婚はない。だってお互い好きだから。

お互い好き。そう、お互いに好きだからこそお互いに感謝をしあっていたい。

俺はそう思う。他人に対する自己顕示欲、承認欲求など持っていないが、俺は妻からは認められたいし感謝もされたい。そしてそれをきちんと態度で感じたい。

家が欲しいなんていう無茶な要求に応えようとしているのも妻が好きだからだ。

でも少し無理をし過ぎたのかも知れない。

こんなにいがみ合っていたのでは冗談ではなく家が買える前に本当に離婚してしまう。

 

俺「オフ会でもやろうかな」

妻「いいと思う。話を聞いてくれる人がいるって大きいもん」

俺「ちょうど誘いたいブロガーさんがいるんだよね」

妻「せっかくだし好きなことやりなよ」

 

俺も株についての知識はある方じゃないが、デイトレを振り返るようなことは好きだった。しかし妻はそういう過去を振り返ることを好まない。ゆえに俺のデイトレライフはいつも孤独だった。

無理をして頑張った結果を褒めてもらいたいわけではない。

ただ単純にデイトレについて話したかったのだ。妻は自分がそういう話に付き合えないことも自覚していたし、俺がそういう話を望んでいることも知っていた。

そこでオフ会も快く承諾してくれたのだ。

しかしここでオフ会の決断をしたことが後の俺たちの人生を信じられないくらい変えることになるとは全く知る由もなかった。

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