デイトレに本気で取り組んでから5か月で170万の利益をあげることに成功した。デイトレをしていると少し結果が出ただけで必勝法を得た気になってしまうからとても不思議だ。
今回もこのまま安定するのが当然のように感じていた。
前回のお話はこちらです。
第39話 ダイエットとデイトレード
なんとかして時間を作り、時間があれば子育てという生活をしながらも携帯ゲーム、ブラウザゲームはきちんと続ける。生活リズムはキツキツに思えたが、さらにスケジュールを詰め込んだ。 子どもがいずれ友達と遊ぶよ ...
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調子に乗り出すと天井は近い
元々午前中だけで終わらせることも多く、ダイエット開始以降はほぼ確実に午前で終わっていたデイトレだが、夏休みが始まると朝の1時間だけに限定されてしまうようになった。
11時半から始まる夏期講習だったが、塾までの4駅分、自転車を押しながらのウォーキングで出勤するようにしたのだ。
夏期講習が始まることで犠牲になるのはデイトレだけではない。
ダイエットに使う時間が限られてしまうのだ。
まず昼休みに行っていたヨガ、ストレッチ、腹筋をする時間がなくなる。
授業前に行っていたウォーキングも難しくなってしまう。
ならばデイトレを1時間で切り上げ、ヨガなどを10時から行い、歩いて出勤する。
この流れを作るしかなかった。
このスケジュールはうまくハマり、自分の体力も限界となることはなかった。
もちろん子育てを始め、ゲーム関連も一生懸命のままだ。
しかしここまで好調だったデイトレの成績は一気に落ち込んでしまった。
3週目が終わっても10万ちょっとの利益しかあがっていなかった。
ちょっと調子に乗り過ぎてただろうか。
だがここで他の生活を犠牲には出来ない。このままやっていくしかないな。
そんな中、俺にとんでもないチャンスが訪れる。
8月4週目、ここで相場が大きく崩れるのだ。
地合いが悪ければチャンスというわけではないが、多くの人がパニックになるような相場はデイトレーダーにとって最大のチャンスになる。火事場泥棒のようで嫌だが、とにかくチャンスなのだ。
この1週間だけで俺は35万オーバーの利益をあげた。
終わってみれば8月は50万近い利益となり、今年最高の利益となった。
やっぱりだ。やっぱりそうだ。
今回こそは本物なんだ。もう俺が落ち目になることはないだろう。
もう6か月だぞ。6か月もこんなに安定して勝ち続けられることはなかった。
それによく考えてみろ。
今まではのらりくらりとやっていた。
それが今回は自分で決めて自分で本気を出し、全力で取り組んできたじゃないか。そうだ、俺が本気を出せばこんなもんだ。弟のように億り人というわけにはいかない。
でも安定して勝つことくらいはなんてことないんだ。
俺は自信に満ち溢れていた。
デイトレだけではないのだ。
俺の体重はついに60キロを切る。ダイエット開始から実に10キロ減となった。おなか周りも引き締まり、腹筋も割れてきていた。何より健康的な生活を実感出来るようになっていた。
最も驚いたのは、少しいい肉を食べるとすぐに胃もたれをするように感じていたが、いくら同じような肉をたくさん食べても胃もたれをしなくなったのだ。
見た目だけでなく、内臓まで健康になったように思えた。
これでカッコイイお父さんになれた。
子どもが友達を連れてくるようになっても全く問題ないだろう。
デイトレでもしっかり稼いでいるんだから、何一つ後ろめたいことはない。
全てにおいて自信が持てる状況だったのだ。
そしてさらに俺に追い風となる出来事が起こる。
携帯ゲームが2か月後にサービスを終了するという通知が出たのだ。
ドハマリしていた頃なら発狂するくらいつらい通知なわけだが、多くの人から敵視され、目標、ターゲットとされて続けている携帯ゲームはもはや苦痛以外の何ものでもなかった。
仲間との会話はもちろん楽しいし息抜きにもなる。
確かに大将は降りさせてもらっていた。
それでも周りからすれば俺の所属する軍は結局俺の軍ということで目の敵にされ続けた。
2位~5位の軍が徒党を組んで参戦してきたこともあった。
携帯ゲームにおいては意地とプライドを持っていたため、絶対負けないようにしていた。
子どもが生まれてから「どうでもいい」と思い込むようにしていたものの、周りが俺を倒そうとすればするほど「負けたくない」と思い、結局は頑張ってしまっていたのだ。
これでいい、これであと2か月頑張ればそれでプレッシャーから開放される。
そしてこの携帯ゲームに使っていた時間を自由に使えるようになるのだ。
これは俺自身のさらなる飛躍は間違いないと確信した。
弟はこの8月こそマイナスだったものの、8月の前半時点では今年のピークとなっていたようだ。もちろん金額など細かい部分は聞いていない。聞く必要もないし、聞いたところで何とも思わないだろう。
いや、嘘だ。聞いてしまえば嫌でも意識してしまうだろう。
だから知らない方が幸せなのだ。
思えば俺も弟もどん底を経験してきた。金銭的にも精神的にもだ。
どんな谷も落ち切ってしまえば後は登っていくだけだ。
長く低迷した後の俺たちは今まさに絶頂期を迎えているようだった。
ただ俺たちは忘れていたんだ。
登り切った後はまた下っていくのだということを。