弟との差を痛感し、打ちひしがれているところに妻からの容赦ない言葉。妻に悪気があるわけではない。でもだからこそ素直な意見ということにもなり、つらくなってしまった。
2016年、小さな目標から始めることにした。
前回のお話はこちらです。
第50話 大いなる負担増
ドラマで言えば大団円といった感じで2015年を締めくくった弟だが、俺はそうもいかない。焦燥感から大失態で大損もした。その上、今度どうすべきか悩んでしまうようになった。 そしてそこにさらなる追い撃ちが・ ...
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妻においしい焼肉を
年末は妻の心ない言葉・・・いや、素直な気持ちで傷付いてしまった俺。
しかし俺は妻が大好きだ。子どもが大好きだ。
年末に高校時代の仲間と恒例にしている忘年会は以前は妻や友達の奥さんも参加していた。しかし友達の家にも我が家にも子どもが生まれ、2人とも参加出来なくなってしまったのだ。
こういう時、男はズルいと自分でも思う。
付き合いなどでごはんに行ったり飲みに行ったりしないでいい立場ではあるため、基本的に俺が家を空けることはない。年に1回この忘年会の時だけということになる。
でもやはり妻に子どもを押し付けてまで楽しい忘年会というのは少々気が引けた。
毎年恒例でちょっと高級な焼肉屋に行っていた。しかしこの焼肉屋がなくなってしまったのだ。それで昨年は新しく出来たもっと高級な焼肉屋で忘年会をした。
俺はこの焼肉を妻にも食べさせてあげたくなった。
最近の俺の体たらくを考えたら絶対に無理だ。そんな余裕なんてない。
しかも「家が欲しいね」なんて言われた直後だ。とてもじゃないけど無理。
それでも食べさせたい・・・。
俺「1月に20万勝ったら焼肉行こう!」
妻「え?うん、まぁ、いいけど」
家を買うという遠すぎる目標ではなく、近くに見える目標の方がモチベーションになるものだ。自分のためではなく、妻に高級焼肉を食べさせたいという気持ちで頑張ろうと思った。
俺自身、変わろうとしていた。
このままでは生活費を捻出するだけのデイトレーダー、いや、それさえも危ういデイトレーダーだ。
どうせこのままではどこかでダメになってしまう。
・株に対するモチベーション
・ロットを上げる
・監視銘柄を旬なものへ
この3つは絶対に必要だと思った。
まず、自分のトレード手法などを積極的にトレード日記ブログ、収支報告ブログで書くようにした。勝っても負けても堂々と発信していくことがすごく大事になると思った。
ロットに関してはどうしても大きな壁がある。
いつもいつもロットを上げようと思うものの、上げたその日にいきなり負けたらどうしようという気持ちが邪魔をして上げられないのだ。そんな不運を恐れてずっと尻込みしている。
ただ今回は違う。
自分の手法に自信を持っているからこそブログに詳しく書き始めたんだ。
それなのに小ロットでのトレードばかりでは何が何だかわからない。自分の1回1回のトレードを薄める行為でもある。それはつまり自分の人生の時間を薄めていることにもなるのだ。
自分の人生を薄めるな!時間の価値を薄めるな!
そう言い聞かせることにした。
監視銘柄はもちろん今回も弟におねだりだ。
金のためならプライドなんていらない。プライド捨てて弟に聞けば金が稼ぎやすくなるというのなら喜んでプライドなんて捨てる。弟に抜かれないようにと思っていたのも事実。
しかし抜かれてしまえばもはや追い付こうとも思わない。
家が欲しいと言われ、色々考えた。眠れなくなったりもした。
でもやっぱり答えは『今のまま』だ。今のままだけど、1つ1つをレベルアップさせるというもの。俺は弟にはなれない。どうやっても無理だと思った。やはりリスクは取れない。
弟に銘柄を聞き、旬な銘柄を監視しつつ、今までより少しロットを上げて薄まっていた人生に少し味付けをしてあげる。そうすることで1日の勝ち額は必ず上げられる。
そう思ったのだ。
ちょうどお正月休みもあったことで考える時間はたくさんあった。
少しの間は冬期講習もあってあまり出来ないが、冬期講習明けからはフルタイムで、今度こそ本気で株式投資、デイトレと長く永く付き合っていこうと思った。
弟がいくら勝つとか何も関係ない。
弟がいくら勝っても俺が家を買えるわけではない。
弟が負けて俺が弟を逆転しようとも家が買えるわけではない。
俺はコツコツデイトレーダーなんだから、そのコツコツの部分を少しだけ大きくする。
そうすることで少しずつマイホームに近付けるんじゃないか。
甘いかも知れないが、出来ないことをやろうとするよりも現実的な思考を大事にした。そもそもロットを上げるというのは今までに何度もチャレンジして失敗してきたことだ。
これが出来ることでも大きな進化になるはずだ。
まずはロットを上げることからだ。
休みの間を利用して弟から教えてもらった銘柄を監視銘柄に全て入れた。
ロットを上げるためのシミュレーションもした。
これで準備は完璧だと思えるくらい情熱を持って取り組んできた。裏を返せばこれで進化出来なければ、俺のデイトレーダーとしての器はそこでおしまいだと言うしかない。
弟に抜かれ、妻からもつらい言葉を受け、悪夢のような年末だったわけだが、その悪夢が俺を覚醒へと導こうとしていた。