激しい夫婦喧嘩は繰り広げられるものの、すぐに何事もなかったかのように元通りになる俺らはとても良い夫婦なんだろうと思う。でも時々本当に大きな喧嘩に発展してしまうんだよなぁ。
金の悩みさえなくなればこんなことはなくなるのかも知れないけど、家購入をゴールと考えるならまだまだ何十年もこんな喧嘩を繰り返していくことになるんだろう。
前回のお話はこちらです。
第61話 デイトレーダーの夫婦喧嘩
金絡みの喧嘩が一気に増えた。8月の成績には満足したものの、それはあくまで夏期講習と並行していたからだ。9月になっても40万ちょっとの利益で調子はイマイチ上がらなかった。 金の計算をすればするほど焦って ...
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やる気の回復で成績向上
10月後半はまさにどん底状態となり、マイナス収支を計上してしまった。
月トータルで見れば25万ほどの利益となったが、後半の流れを見ると今後への不安は増すばかりだった。大きな喧嘩にならずとも小さな言い合いをする日も多くなっていた。
このままでは色んな部分でダメになっていってしまう。
そう考えた俺は発想の転換を図った。
金を使おう!
いつもお金のことばかり考えていた。トレード開始前は今日これからのトレードのこと。終われば脳内で計算しつつ皮算用も織り交ぜる。塾へ自転車で向かう途中も皮算用で金の計算。
どんどん脳が金に支配されていくのがわかった。
そしてそのことで余裕が持てなくなった俺は今まで許せていた、というか可愛いとさえ思えていた妻の天真爛漫部分というか天然っぽい部分が目につくようになってしまったいたんだ。
金への執着をいったん消そう。
そのためには散財しかない。
いや、やりたいことをやりたいだけやろう。
子どものことが可愛くて可愛くて仕方ない俺は、自分のやりたいことと言えば子どもの笑顔を見ること。そして子どもが最も喜びそうなことを考えるのは楽しい時間だった。
ちょっと遠いものの、子どもの笑顔が見たくてアンパンミュージアムに行く計画を立てた。
アメリカ大統領選挙の日を選んだ。結果によっては大チャンスになるだろうけど、まぁ順当に終わるだろうということでつまらない相場になると踏んだためだ。
しかし当日の朝、思わぬ波乱が株式市場で起きた。
朝から激しい下落を見せる。そこに俺らも巻き込まれたわけだが、どちらにも転ぶ展開であり、乱高下したおかげでやや大きめの利益を出して終わることが出来た。
危ない危ない。さっさと出かけてしまおう。
そう思って10時過ぎには出発した。
車の中で株価をチェックしていると、下落が止まらない様子だった。逆張り派の俺からすると大チャンス相場にも思えたのだが、さすがにトンボ返りする選択肢はない。
アンパンマンミュージアムに着く寸前、後場が始まったはずが株価が更新されない。
「はっ!特売りか!」
予想通り後場は多くの銘柄が特売りで始まり、ストップ安付近まで売り込まれる銘柄も少なくはなかった。大型株であっても例外ではなくかなり売り込まれた様子だった。
途中で「俺がやってたらどうなっただろう」なんて考えもしたが、やめやめ。
子どもの笑顔が見たくてここに来たわけだ。
この日は遊んだ。遊びに遊んだ。
ドリーミングの生歌も見ることが出来たし子どもも大はしゃぎだった。
これだよこれ。こういう風に家族で楽しむことこそ俺の幸せじゃないか。金を欲しがってもいいけど、金に囚われてしまってはいけない。幸せになるために金を稼ぐはずだ。
金を稼ごうとし過ぎることで喧嘩してたら不幸せになる。
そこまでして得る金に何の意味があろうか。
やる。やってやる。頑張れるだけ頑張る。
でも稼げなくても無理する必要はない。とにかく子どもの笑顔が見られること。その笑顔を絶やさないこと。そしてそのためには俺たち夫婦が笑顔を絶やさないことが何より大事なんだ。
子どもも夫婦喧嘩の雰囲気くらいはわかる年齢になってきている。
自分が子どもの頃、親の夫婦喧嘩を見たらとても嫌な気持ちになった。思い返してみると、そういう点ではうちの両親は相当俺らに気を使ってくれていたように思う。
自分の子どもにも気を配らなければ。子どもに嫌な思いをさせてはいけない。
この発想の転換は大きな転機となった。
全然うまくいかない時期を乗り越え、11月は55万勝ちとなった。このタイミング。このタイミングだ。俺はついにオフ会を実行しようと動いた。楽しいことは何でもやるんだ。
前から気になっていたブロガーさん2人を誘うとすぐに快諾を得られた。
そして自分の収支報告ブログにて追加募集をすると、さらに3人が集まってくれた。
計画をしてからすぐのことで、日程的に余裕もない中で5人も集まってくれる。しかも驚くことに1人は九州から飛行機を使い、泊りがけで来てくれるというのだ。
楽しい会にしようと決意した。
こうやって前向きに楽しいことを計画し、実行していく。それこそが今の俺に最も必要なことだ。結果を焦り過ぎたことでうまくいかなくなり、そのことでイライラする日々だった。
楽しいことをしていれば自然と心に余裕は持てるはずだ。
そしてその心の余裕こそがトレード結果も良いものにしてくれる。
考えてもみなかった。勝ちへの執着をなくすことで自然と勝ちやすくなるなんて。勝とうとしない方が勝てるとはよく言うものの、言い聞かせる意味合いが強いと思っていた。
まさかこれほどまで顕著に出るなんて。
欲は言わない。この成績が少しでも長く続きますように。