子どもが生まれ、可愛くて可愛くて仕方なかった。あれだけ没頭していた携帯ゲームの頻度も自然と下がっていった。デイトレをする時間があるなら子どもの世話をしたかった。
楽して稼ぐために選んだのは何度も失敗を繰り返したスイングトレードだった。
前回のお話はこちらです。
第36話 赤ちゃん誕生!そしてスイングトレーダーへ
ナマケモノとしてのレベルを着々と上げていく俺。妻と言い合いになることも多かった。自分が悪いと思いつつも携帯ゲームはどうしてもやめられない日々。 デイトレを怠け、携帯ゲームに没頭する日々を送りながら夏期 ...
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スイングトレードの罪と罰
スイングトレードが悪いんじゃない。単純に俺が悪いんだ。
スイングトレーダーとして成功している人は並々ならぬ努力をしているはずだ。
そんなことはわかっていた。そして大した努力もせず、値ごろ感からするスイングトレードではすぐに挫折することになる可能性も十分に考えられた。
ただそれでも勝算がなかったわけではない。
アベノミクスは落ち着きを見せていたが、まだまだ上があると思える雰囲気があった。
事実として日経平均はこの後上げていくことになる。
俺はそのタイミングでマザーズ指数もグングン上昇すると踏んでいた。そのため新興市場、マザーズ市場の銘柄を100万円ずつ買い込んでいたのだ。
それにあの頃とは違い、デイトレでは勝てるようになっている。
スイングでも勝てる判断が出来るのではないかと考えた。
俺の最大の誤算は自分が間の悪い人間であることを忘れていた点だ。
俺が株を始めた2006年は個人投資家が大好きな新興市場が壊滅した。
そこからサブプライムローン問題、リーマンショックと立て続けに問題が起こり、日経平均は半値以下になり、マザーズ指数など俺が始めた時の5分の1にもなってしまったのだ。
デイトレ復帰した2013年5月にはアベノミクスのいったんの天井となる5月23日の暴落がきた。
まるで俺自身が何かを呼び寄せてしまったかのようにそれまで好調だった日経平均は上昇を止めた。
そして今回は俺が新興銘柄を買い漁ったことにより、マザーズ指数が下落へと向かうことになる。
それまで日経平均株価と同じような動きをしていた新興マザーズ指数が、日経平均の上昇とは反対に下がっていったのだ。なんでこうなる!なんでいつもこうなるんだ!
納得はいかないものの、現実を受け入れざるを得ない。
大丈夫、大丈夫と笑っていられたのも数日のみ。
1回たりとも含み益になることはなく、含み損が膨らむのを見ている日々に突入した。
デイトレには復帰しないものの、俺の生活は大きく変わっていた。
まず、夜中でも赤ちゃんが起きれば俺も一緒に起きた。
妻が一生懸命寝かせてくれるのだが、何回も起きる時は順番で寝かせられるように協力をした。朝もきちんと赤ちゃんと一緒に起きた。オムツも積極的に変えていた。
塾に行くギリギリまで子どもとの時間を大切にした。
終われば相変わらず自転車で猛ダッシュの帰宅だ。
そして寝かしつけに参加する。
せっかく寝たのに、置き方で失敗してまた大泣き。振り出しに戻って寝かしつけというループも楽しめた。
携帯ゲームもまだ引退はしていなかった。
しかしそれまでのように生活を犠牲にするような時間の使い方ではなく、子育ての息抜きのような楽しみ方が出来るようになっていた。もちろんまだ無敗街道だ。
今までとは全く違うように思えた。
サボりたくてデイトレから逃げていたのは事実だ。しかしサボりたい理由の大半は朝、早起きしたくないというものだった。この早起きが全く苦ではなくなっていたのだ。
これは大きな変化だと思った。
10月になるとスイングトレードの含み損は80万を超えていた。
まさにスイングトレードをナメたことの罰を受けた格好となった。
俺はついにデイトレへの復帰を決意する。
早起きが苦ではなくなった今、デイトレを拒む理由はなくなったのだ。
いやそんなカッコつけている場合ではない。
塾だけの収入では一家の生活費は賄えない。デイトレで稼がなきゃいけない立場でありながらサボり続け、挙句の果てに手を出したスイングトレードで80万もの損失だ。
もう見事にダメ夫だ。
なりふり構ってなどいられない。
俺に出来ることはデイトレ復帰しかない。
これで本気になれるのであれば、この80万の含み損も無駄にはならない。
そう考え、10月からデイトレに復帰した。
力を温存するだとか、本気を出さないだとかもうバカバカしい。
本気だ。全力だ。これでダメならダメなんだという思いでいく。
休止前、5万勝ちを繰り返し、手数料無料の証券会社に移っても15万が限界だった俺の復帰月である10月は30万以上勝つことが出来た。翌11月も20万以上の勝ちだ。
本気を出したことで順調にスイングの負けを取り返していった。
スイングの方も俺のやる気に呼応するかのように値を戻し、一時の悲劇的な状況からはかなり改善が見られた。しばらく持ち続けようと思っていたため、そのまま年を越すことを決めた。
デイトレでその分頑張ればいいと思っていた。
12月、途中まではデイトレも引き続き好調だった。
しかしIPO、新規上場銘柄ラッシュになり、資金の流れについていけなくなり、大きなマイナスを出すことになってしまった。
再び投げやりな気分になってしまう。
結局12月はマイナスを出してしまい、引きずって翌1月も月間マイナスを出してしまう。
まさかの2か月連続のマイナスだ。
そして俺はまた逃げ出す。敗走だ。
いつまで俺はこんなことを繰り返すのだろうか。
考えた。今回は考えた。本当に考え抜いた。
そして1つの答えをきちんと用意した。
2月いっぱいきっちりと休み、3月から復帰をすることになった。
もう迷わない。
そして弟にも大きな変化が起きようとしていた。
2014年2月以来、大きな動きを見せていなかった弟の収支だが、ついに動きを見せる。