デイトレをするのが面倒でスイングトレーダーに転身しようとしたものの、あっさりその計画は打ち砕かれた。その上デイトレでもボコボコにされ2か月連続のマイナスだ。
このままではどうにもならない。
久しぶりに言い訳の出来ない状況となり、再び覚醒出来るかの勝負だ。
前回のお話はこちらです。
第37話 デイトレへの早期復帰
子どもが生まれ、可愛くて可愛くて仕方なかった。あれだけ没頭していた携帯ゲームの頻度も自然と下がっていった。デイトレをする時間があるなら子どもの世話をしたかった。 楽して稼ぐために選んだのは何度も失敗を ...
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デイトレーダーの規則正しい生活へ
子どもと一緒に起きる生活が続いていた。朝きっちり起きていたのだ。
塾の高校受験も終わった。もはや忙しいという言い訳もなくなった。
デイトレに集中出来る環境がこれ以上なく整ったのだ。
このタイミングで再び弟に旬な銘柄を聞いた。以前と同じだ。
プライドなんかでメシは食えない。
とにかく以前のように少しでも勝てる確率を高めるのだ。
また、やる気が出る要素がもう1つあった。
携帯ゲームの他にハマっていたブラウザゲームだが、こちらはある程度の金額を課金して遊んでいた。弟が酔っ払った勢いでガンガン課金していた時期があったのだ。
勝負をするにも課金ゲーマーと張り合うには課金しかないと思って俺も課金していた。
しかし家庭持ち、子持ちとなった俺がかけられる金額はたかが知れている。
だから10万勝つごとに1万は課金してOKという決まりでも作ったらどうかと弟に言われ、妻にもそれを承諾してもらったのだ。ゲームに課金するためにも頑張ろうと思えたのだ。
俺は変わった。明らかに変わった。
朝起きるのは当たり前だが、デイトレの準備をすべき時間よりはるかに早く起きている。子どもの世話を手伝うためだ。夜中に大泣きであまり寝られなかった日でもきちんと早起きする。
だから9時前には万全の態勢でデイトレが出来るようになっている。
いつしかやらなくなってしまっていた予習も前日にするようになった。
妻とともに子育てをする幸せを噛み締めた。
子どもの世話をする幸せを噛み締めた。
この生活を守るためにも俺は頑張ろうと思った。
俺は俺の性格をよく知っている。
どうせこんな決意をしてもいつかはまたサボる。ただこうなったからにはしばらく頑張れるということも確かなはずだ。
早起きをし、子育てに協力しつつデイトレをする。出来るだけ早く切り上げ子育てに参加する。そして塾でも頑張って授業をする。授業が終われば出来るだけ早く帰ってくる。
成績もその頑張りに呼応した。復帰した3月はいきなり40万オーバーの勝ちだ。
4月、5月も20万以上勝つことが出来た。どちらも月末最終日に10万クラスの負けをしたのだが20万以上利益が残っているのは大きな変化の証だろう。
弟の成績も動き出していた。
2015年に入っても苦労が見え、収支報告ブログをやめてしまっていたのだが、収支報告のプレッシャーから解き放たれてからは徐々に成績が上向いていた。
兄弟揃って好調というのはなかなかない。
弟は典型的な順張り派であり、地合いが良ければ良いほど勝つ。
俺は典型的な逆張り派だけに、地合いの悪化はむしろどんと来いという立場だ。
それが両者ともに好調期を迎えることが出来たのだ。
塾は相変わらずで、そこまで生徒数が増えることはなかったが、それでも一時期のような窮地は抜け出していた。塾だけの収益で生活は難しいものの、デイトレとの両立が出来ればそこそこ余裕のある生活も出来るようになってきていたのだ。
もちろん貯金まではなかなか回せない。
それでも計算上、赤字になるようなことはないと思えた。
俺はこのまま賃貸マンションでずっと暮らすのならば苦労はしないと安易に考え始めていた。
6月に入り再び40万オーバーの利益をあげた。7月は夏期講習の準備があり、午前中しかトレードが出来ない日が圧倒的に多かったのだが、それでも引き続き40万オーバーの利益だ。
5か月で約170万の利益になった。20万少々だった2か月も、月末の負けが大きかったわけで、もう少し気を付けることが出来ればさらなる安定にもつながるように思えた。
相場はどう考えてもバブルではなく、決して地合いの恩恵があったわけでもない。
実力だ。
実力でもぎ取った5か月170万という成績だ。
弟はこの頃、さらに成績を伸ばしているようだったが、詳しい内容を聞くことはしなかった。
不思議なものだが、自分の生活に満足していると、他者の成績が全く気にならなくなるのだ。
それは相手が弟であっても例外ではない。
少し前までは弟の成績が気になっていた。応援する気持ちは持ちつつも、やはりどこかで勝負という目線も持っていた。どこかで金を幸せと思い込んでいたのかも知れない。
しかし今は違う。俺には家族という幸せがあった。
金は自分に見合っただけ、自分が苦労しないで済む分だけあればいいと思った。
そう考えると勝負という意識は全くなくなったのだ。
ただ、ブラウザゲームでは常に本気の勝負を続けていた。絶対負けたくなかった。
だから頑張って稼いだ中から約束通りブラウザゲームに課金していき、強くなる努力をした。
そうやって携帯ゲームに使っていたような大量の時間を徐々にブラウザゲームに費やすようになっていった。
これから夏期講習も始まるのに、そんな無茶な時間の使い方ばかりしていた。
子どもの1歳の誕生日も近付いていた。
果たして俺の身体、そしてやる気は続くのだろうか。