3か月で300万以上の利益が出せたことで完全に俺は調子に乗っていた。無理することなくこの勝ち額ベースに持っていけたこともあり、今後も同様に勝てるものと思い込んでいた。
まさかこの歳になっても過去と同じ勝手な思い込みをするとはね・・・。
前回のお話はこちらです。
第54話 兄として・デイトレーダーとして
祖母は退院し、毎週土曜日を楽しみにしてくれていた。弟の詳しい近況もわかった。 気がかりなことは何もない。あとは俺自身がマイホーム購入ミッションへ向けて突き進むだけだ。一気に稼ぐことが出来ない以上、毎日 ...
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嘘のような本当の悲劇
4月1日の朝、少し考えた。
「今日ブログのタイトルで大損示唆すれば人がいっぱいきそうだな。それでアンチを喜ばせておいて嘘ぴょーんっていう流れが面白いな。うん、それでいこう」
とんでもねぇ。
朝からいつも通り果敢に攻めた。全ての取引で利益を出そうとせず、相対的に勝つことを考えてきた。
介入機会を増やし、出来るだけ運に左右されないトレードをしてきたつもりだ。
しかしこの日はほぼ全ての銘柄で含み損になった。
そんなバカな!
今年に入りロスカットもサクサク出来ていたが、さすがに全部が含み損ではロスカット出来ない。
2013年の時と同じ感覚だが、下がってきたものをナンピンしていったことでロットが自然と膨らんだ。これが一気に戻せば・・・という気持ちが強く出てしまったのだ。
助け舟が出ても乗ろうとせず、大きな含み損から奇跡の大逆転、それも大勝ちを狙っている。
そのせいで再度下落に転じるまで売ろうという気持ちが出てこない。
結局前場終わるまでに20近いマイナスになり、ロスカットせざるを得なかった。
今でもこんなことをしてしまうんだ、という思いから茫然となった。
昼休みに子どもと公園に行き、リフレッシュした。
しかしそれでも悪い流れは変えられず、この日は20万強の損失となった。
大負けしたという嘘のタイトルを使ってエイプリルフールを楽しもうとして、本当の大負けをしてしまうという嘘のような本当の話。いや、それだけではないかも知れない。
覚醒した今年の俺ならば、大損という話を書いてもエイプリルフールだから嘘だなと読者に思われるかも知れない。読み進めていっても結論のところまで信用してもらえないかも知れない。
最後まで読んで「あ、こいつマジで大損してたんだ、ウケるw」って思われるかも知れない。
そう考えるととんでもない日に大損してしまったもんだ。
余計なことは考えるべきじゃなかったな。
憂鬱な思いを抱えながら大損ブログを書いた。どんなコメントがつくかなとドキドキしていたのだが・・・何もコメントなどこなかった。誰も俺のことなんか気にしていなかったのだ(笑)
勝手に変なこと考えて勝手に転んで、勝手に嫌なことを考えて結局何も起こらず。
うーん、虚しい1日だ。
しかもこの日、俺はさらなる悲劇を呼び込んだ。
この大負けから何かを得ようと考えたのだ。ロットを上げろという天の合図だと勝手に考えた。あまりにも都合のいい解釈だ。パチンコや競馬に例えればすぐにわかることだ。
パチンコで負けた時、「もっとハイリスクハイリターンな台を選べということか!」と言っていたらどう思うだろうか。
競馬で負けた時、「もっと賭け金を大きくして取り返せということか!」と言っていたらどう思うだろうか。
明らかにおかしい。
なのにこの時の俺はそのことに気付けなかった。
結局この2営業日後、この日の負け額の2倍となる41万負けを記録する。
3か月で300万以上勝ったとは言え、ラッキーパンチのような大勝ちは1回もなかった。コツコツ積み重ねることで勝ってきたのだ。それなのに20万負けた途端に変わってしまった。
一気にこの20万を取り返そうとしたのだ。
好調時でも出来ないことを流れが悪くなったからと言ってやろうとした。出来るわけがないんだ。
ロットを上げ、さらにロスカットもせず、それどころか小さなリカクを積み重ねようともしない。せっかくの含み益も含み損となり、ナンピンして含み損は大きく成長する。
全く抵抗出来ずに大負けしたのだ。
3営業日で60万近くのマイナスを出したことで、3か月で300万という実績も霞んだ。
1日きっちり落ち込んで、明日からどうするべきか考えた。
どのようにしてこの3か月勝ってきたのかをきちんと思い出し、その時の感情もきちんと思い返した。
1日のリカク額や手数さえ落ちなければ出来るはずだ。
特別なことはしなくていい、大きく取り返そうとしなくていい。
大勝ちは狙ってするものではなく、相場が味方した時に自然と出来るものだから。
感情が正常に戻った俺だが、4月はこの後もノーガードの殴り合いといった感じだった。
7万負けもしたし、負ける日も確実に増えていたが、その反面、10万以上の勝ちも2回あった。
勝った日の勝ち額さえ減らなければ感情がバグらない限りいけるという結論に至った。
そのためにはノーガードの殴り合いのような推移で構わないというのは間違っていないと思う。
取れるからこそロスカットに関して寛容になれるわけで、取れる額が少なくなってしまえば失いたくない、失えないという気持ちが強くなりロスカットも出来なくなってしまうだろう。
だから今の相場でこのやり方は正しいのだと思った。
4月はラスト2営業日という時点でやっとプラスに転じ、結局4万勝ちで終えることが出来た。ものすごくアップダウンはあったが、今年に入っての進化が最も顕著に出た月だったとも言えるだろう。
まさか本当に60万の負債を取り返せるとは思っていなかった。
そしてその頃、弟はもっととんでもない殴り合いをしていたのだった。